【黒=Black】という色相について、塗料に関わる人たちの最近のイメージは「高級な色」「難しい色」「トレンドカラー」という様な感覚でしょうか?
元々はピアノや仏壇などの漆黒を表現する「ピアノブラック」
現在では漆黒調の深みがある黒は高級な色相をイメージしやすいので自動車業界やエレベータ、高級家電などで多くの業界で使われるようになりました。冒頭で「難しい色」と申し上げたのは、塗装の仕上がり外観基準が厳しく、量産で安定的な品質を出すことが難しいからです。皆さん共通にご苦労をされています。
しかし、自動車や家電等で塗られるピアノブラックと、グランドピアノのブラックとは、実は似て非なるものなのです!?
「漆黒」➡「うるしの黒」
元々、ピアノや仏壇はうるしで出された黒であるために「漆黒」と表現されています。いわゆる量産塗装ラインで塗料で塗られたピアノブラックとは別物なのです。と、言い切りたいところですが、時代も変わり、現在はピアノや仏壇なども漆塗りはほぼなく、塗料を用いた塗装+磨きの複数工程で鏡面の本物に近い黒い色相を出しています。
そして、鏡面に磨きこんだ黒漆を黒呂色(くろろいろ)と呼びます。磨きこむ作業自体や、使う黒漆も呂色と呼びます。丁寧に作業された呂色は鏡のように硬質で、静かな水面のようです。「飛び込みたくなるような」仕上げが最上の呂色とされるようです。ここまで来ると芸術の領域ですね(笑)
そしてピアノの黒は日本で黒うるしを塗ったのが始まり!
そもそもピアノを発明した西洋がスタートではないのです。西洋人は日本で塗られたピアノの黒呂色があまりに美しくて感激したらしい。これより、欧米で塗料の本格的な高級化+汎用化、工業化が始まったと言われています。・・・と、これはまあまあ有名なお話なので割愛します。
さて、、、
究極の黒=世界一の黒 ➡ 「Vantablack」
Wikipediaによると、ベンタブラック(Vantablack)は、カーボンナノチューブから構成される、可視光の最大99.965%を吸収する物質。光が当たると、それを跳ね返すのではなく「チューブの森」に捉え、チューブ内を何度も屈折させ最終的には吸収されて熱として放散される。2019年にMITが吸収率99.995%の物質を発表するまで既知の「最も黒い物質」。と記載されています。
吸い込まれそうな黒!まるでブラックホール!?
詳しくは下記の「Vantablack Coating Technology」について説明しているURLをご参照ください。
https://vantablack.co.jp/
下記ではBMW X6を塗装する様子(ほんの一瞬)が!
https://youtu.be/SFFzSkWC4Ms
最後に!!
漆黒(黒呂色)とVantablack(世界一の黒)。
どっちが究極の黒でしょうか??
・・・私個人は漆黒!と答えると思います。なぜなら本当に美しい黒だからです。
そもそも黒の概念とは何だ???などと考えているとまだまだ時間がかかりそうなので、この辺りで失礼させていただきます。
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